健康習慣

【オメガ何が何だって?】ややこしいけど健康のためになる脂肪酸の解説

はじめに

いってつ

こんにちは!元警察官トレーナーのいってつです!

脂肪酸とは、グリセロールと結合して脂肪になる謂わば脂肪のベースになるものです。
単に脂肪酸と言ってもその種類によって働きはそれぞれ異なります

オメガ3やオリーブオイルは体にいいと聞いたことはあるかと思いますが、何に作用して健康効果を及ぼすのでしょうか?

今回はそんな脂肪酸の種類と働きをざっくりまとめて解説していきます。
健康やダイエットのためにどんな脂肪酸を摂っていけばいいかよく分かる記事となっているので最後までご覧ください!

脂肪酸の種類について

飽和脂肪酸は体に悪いと言われがちではありますが、あくまで摂りすぎてしまうことで、カロリー過多で体脂肪になったり、悪玉コレステロールを増やす原因になるものと捉えるべきであり、飽和脂肪酸自体は生命にとって優秀なエネルギー源です。そのシステムについても

脂肪がどのようなものについてはこちらの記事を見ていただくことをおススメします!

                    脂肪酸一覧

この図では飽和脂肪酸に分類されている食材にも不飽和脂肪酸はある程度含まれていますし、逆に不飽和脂肪酸に分けてある食材にも飽和脂肪酸は含まれています。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違い

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸、飽和しているかしていないかという意味になりますがどういうことでしょうか?

こちらは飽和脂肪酸の「ステアリン酸」と、不飽和脂肪酸の「オレイン酸」の構造式 (分子の配列)です。「カルボキシル基 (左端から3列の構造)」 を除き、ステアリン酸は、炭素 (C) に水素(O)が満遍なくついている (飽和状態) なのに対して、 オレイン酸は中央に炭素が1つしかついていない部分があります。(不飽和状態)。

中央の炭素の鎖に水素が飽和しているのが飽和脂肪酸で、 逆に水素がついていない箇所があり、炭素が二重結合 (=) しているものが不飽和脂肪酸ということです。

エネルギーになる飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は牛肉やバターに多く含まれる飽和脂肪酸です。

飽和脂肪酸は
・固まりやすい
・酸化しにくい
・エネルギーや体脂肪になりやすい

といった特徴があります。

いずれも水素の分子が飽和していて、化学的に安定していることが理由です。
あくまでイメージですが、
・土より粘土の方が固めやすい
・水より氷の方が蒸発しにくい
・水分や空気が多い木は燃えにくく、枯れてそれらがなくなった植物は燃えやすい

という事象に近いと思います。

飽和脂肪酸は体に悪いと言われがちではありますが、あくまで摂りすぎてしまうことで、カロリー過多で体脂肪になったり、悪玉コレステロールを増やす原因になるものと捉えるべきであり、飽和脂肪酸自体は生命にとって優秀なエネルギー源です。
そのシステムについてもこちらの記事で解説しています。

オメガ3脂肪酸の役割

オメガ3脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸に分類される「必須脂肪酸」です。必須脂肪酸は体内でつくることができず、体の機能を調節する「エイコサノイド」というホルモンに近い物質の材料になる脂肪酸を指します。オメガ3脂肪酸は体の炎症(腫れ、痛みや熱)を抑える抗炎症のエイコサノイドの材料になります。

オメガ3脂肪酸には主に魚(特に青魚)に含まれる「EPA」、「DHA」と亜麻仁油やえごま油に含まれる「αリノレン酸」があります。体内でαリノレン酸→EPA→DHAに変換されていきますが、αリノレン酸から変換される割合は8%ほどと少ないので基本的にはEPAやDHAを摂取することが好ましいです。

血管・筋肉のEPA

EPAは主に血管や筋肉の機能に関わります。

善玉コレステロール (HDL)」を増やし「悪玉コレステロール (LDL)」を減少させることによる高血圧の予防・改善効果が高く、生活習慣病の予防に大きく貢献します。

また、使われていない筋肉を分解する「ユビキチン・プロテアソーム系」の働きを抑制し筋肉の分解を抑制する他、タンパク質の合成を促進する作用があり、健康的なボディメイクにも有効だと言えます。

脳機能のDHA

DHAは脳関門を通ることができ、 脳神経の成長や維持に関わります。

「♪🐟🐟🐟〜🐟を食べると~🧠🧠🧠〜🧠が良くなる~」 という歌詞はこのDHAのことを賛歌しているということですね。

特に子供の脳機能促進や高齢者の認知機能の低下予防効果があります。若い世代であっても若年性の脳梗塞が報告されていることを考えると、どの世代においても脳の健康のためにDHAは継続的に摂取していきたいところでしょう。

オメガ6脂肪酸の役割

オメガ6脂肪酸もオメガ3脂肪酸同様、 多価不飽和脂肪酸に分類される必須脂肪酸です。ごま油、菜種油、サラダ油などに含まれる 「リノール酸」や、卵や豚レバーなどの動物性食品に含まれる「アラキドン酸」 などが挙げられます。

オメガ6はリノール酸 →y-リノレン酸 DGLA (ジホモ-リノレン酸)→ アラキドン酸と変換されていきます。 アラキドン酸は炎症作用をもつエイコサノイドの材料になります。

アラキドン酸の役割

“アラキドン酸は炎症作用を起こす悪者”と捉えられてしまったかもしれませんが、アラキドン酸そのものは大事な役割を担っています。
その役割として、
・細胞膜 (リン脂質) を構成する。
・脳細胞を構成し、 学習・記憶能力に関わる。 DHA同様子供の脳発育に必要。
・血液を凝固し、 止血作用に関わる。
・胃の粘膜を増強する。
・トレーニング後の筋肉合成を高める (トレーニングによる筋肉の炎症を促進する)。

などが挙げられます。

この世はオメガ6だらけ

かといってオメガ6脂肪酸をたくさん摂ればいいわけではありません。そもそもこの世にはオメガ6脂肪酸を含む食材に溢れています。

先に挙げたオメガ6脂肪酸を含む食材一覧を見てください。 食肉に食用油に豊富に含まれている上にオメガ3脂肪酸を含む青魚にすらアラキドン酸は含まれるので、オメガ6脂肪酸は意識せずともたくさん摂取しているんです。

アラキドン酸からつくられる炎症作用のエイコサノイドは、アラキドン酸そのものの作用というよりはいわば副作用的なものなので摂りすぎないようにしつつ、抗炎症作用を持つオメガ3脂肪酸もしっかり摂ることが重要です。

おおよそのバランスについては後ほど解説していきます。

オメガ9脂肪酸の役割

オメガ9脂肪酸は「一価不飽和脂肪酸」で、オリーブオイル、アボカド、 卵に含まれる 「オレイン酸」が主な脂肪酸です。

オレイン酸の役割

オレイン酸はLDL (悪玉コレステロール)値を下げ、 高血圧を改善する効果があります。

オリーブオイルをふんだんに料理に用いる 「地中海式」 の食生活は生活習慣病のリスクを大きく減らすことで知られていますが、これはオリーブオイルのオレイン酸による効果です。

また、オレイン酸にはインスリン (血中の糖を細胞に運ぶホルモン)の抵抗性(分泌しにくい・正常に働かない状態)を改善し、糖尿病の予防や治療への効果も期待できます。

また、オレイン酸は多価不飽和脂肪酸に比べ酸化しにくく、体内で肌荒れや動脈硬化を起こす過酸化脂質になりにくい特徴があります。 とはいえ、不飽和脂肪酸である以上飽和脂肪酸に比べて酸化しやすいことに変わりはなく、酸化しにくいビンのボトル且つ早めに使いきれる大きさのものを選びましょう!

また、酸化しにくく品質の良い 「エクストラバージンオイル」 が良いとされていますが、日本の基準では質の悪いものと混合してもエクストラバージンを名乗れるので、とことん品質にこだわりたいのであれば、 国際オリーブ協会 「IOC」 と、 その基準と同様の 「JOA」のマークがあるものを探しましょう。

トランス脂肪酸について

トランス脂肪酸」は不飽和脂肪酸であり、近頃健康に悪いものだと広まって来ています。確かにジャンクフードによく使われるマーガリンやショートニングなどに多いのですが、実を言うと一概に体に悪いとは言えないものなのです。

そもそもトランス脂肪酸とは?

トランス脂肪酸の 「トランス」とは「向こう側」 と言う意味です。何が向こう側なのか?というと分子構造における2つの水素の位置のことを指しています。

簡単に言えば、2つの水素が橋 (結合部分)をはさんで位置しているのが「トランス」です。 反対に、2つの水素が同じ側に位置しているものを 「シス (こちら側)型」と言います。

このうち、 トランス型の結合があるものをトランス脂肪酸と呼びます。

人工の油が体に悪い理由

トランス脂肪酸が体に悪いと言われる所以は、人工的に精製されたマーガリンやショートニングなどに 「エライジン酸」と呼ばれるトランス脂肪酸が多く含まれているからです。

このエライジン酸が
・コレステロール数値悪化
・中性脂肪増加
・インスリンの抵抗性

など、 生活習慣病の原因になる状態を引き起こします

自然由来のものなら?

人工のイメージが強いトランス脂肪酸ですが、 「バクセン酸」 という自然由来のものが存在し、特に牛の肉や乳に含まれます。

このバクセン酸はサプリメントで有名な「共役リノール酸 (CLA) 」 になり、
・体脂肪の蓄積を抑える
・体脂肪の分解を促進する
・抗酸化作用
・インスリン抵抗性改善&感受性UP
・高血圧の予防、改善

などの健康やダイエットの効果があります。

もちろん、 牛由来の食べ物をたくさん食べればいいというものではありませんので、運動とバランスのいい食習慣を前提にサプリメントを摂取するのが良いでしょう。

脂肪酸の摂取バランス

ここまで脂肪酸の働きを解説してきましたが、 どのどれくらい摂れば良いのでしょうか?
ここで大切になるのは量というより比率です。アラキドン酸が炎症作用を持ち、 そのアンチテーゼとしてEPAが抗炎症作用を持つように、それぞれの効果がバランスをとりあっているからで、
その割合は
飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸: 多価不飽和脂肪酸3:4:3で摂る
ことが理想
とされています。

「脂肪」酸 であるため、基本的には脂質を含む食材から摂ることになりますが、その脂質から摂るカロリーはその人の基礎代謝や食事法によって変わります。ここでは 厚生労働省の基準である摂取カロリーの2~3割(今回は3割)を脂質で摂ることを一般的な男性の摂取カロリ一目安2400klで想定して計算します。

脂質のカロリー 2400kcal ×0.3=720kcal

脂質の数 720kol÷9 (脂質1gのカロリー) = 80g

80g×0.4=32g

80g×0.3=24g

よって80gの3:4:3=24g:32:24g になります。

先述の通り、この食材は全て〇〇脂肪酸・・・というわけではなく、細かい計算は骨がおれるので、摂りにくいオメガ3脂肪酸を意識しつつ肉や卵、オリーブオイルなどを摂取カロリーの範囲内で満遍なく取り入れていくのが現実的な方法ではないでしょうか。

まとめ

それでは今回のまとめです。

今回は「脂肪酸の種類」 について解説しました!

① 脂肪酸は大きく 「飽和脂肪酸」 と 「不飽和脂肪酸」 に分けられる。 不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に分けられ、細かくオメガ3・6・9に分類される。

②飽和脂肪酸は化学的に安定しており、エネルギーになりやすい分、カロリー過多になると体脂肪にもなりやすい。

③不飽和脂肪酸は化学的に不安定で、必須脂肪酸は体の生理機能に関わるエイコサノイドの材料になる。

④ 多価不飽和脂肪酸のオメガ3脂肪酸には、抗炎症作用や、 高血圧改善効果があり、EPAは血管や筋肉、DHAは脳機能に良い効果がある。

⑤ 同じく多価不飽和脂肪酸であるオメガ6脂肪酸は脳機能や胃の粘膜の保護に関わる反面、体内の炎症作用を起こす。

⑥ 一価不飽和脂肪酸のオメガ9脂肪酸は高血圧やインスリン抵抗性の改善効果があり、多価不飽和脂肪酸と比べ酸化しにくい。

⑦不飽和脂肪酸のトランス脂肪酸は、人工のものは健康に害を及ぼすが、 自然由来のものはCLAとなり健康やダイエットに効果がある。

⑧ 脂肪酸の摂取バランスは、飽和脂肪酸: 一価不飽和脂肪酸: 多価不飽和脂肪酸=3:4:3であり、不足しがちなオメガ3脂肪酸を意識して摂ると良い。

以上です!

次回も読者の皆さんに役に立つ情報をお届けします! 最後まで読んでいただきありがとうございました! それでは良いトレ日を!

ABOUT ME
いってつ
埼玉県で活動している現役パーソナルトレーナー。大学を卒業し、警視庁の警察官として4年半勤務。トレーニングを通じて人々を幸せにしたい思いから退職し、VALXトレーナースクールでトレーナーとしての基礎を磨き、令和6年4月からパーソナルトレーナーとしての1歩を踏み出す。