はじめに
こんにちは!元警察官トレーナーのいってつです!
「脂肪」はダイエットや健康を語る上で外せない栄養素です。脂(あぶら)とつくだけで顔をしかめてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね💦
しかし脂肪は体を構成する大事な栄養素の一つであり、悪者扱いして蔑ろにしてしまうと大変なことになりますよ…!
そこで今回は、脂肪の役割について、皆さん大っ嫌いなコレステロールや体脂肪といったワードも含めながら解説していきます!
脂肪とは何か?
まずは脂肪とは何なのか?を簡単に解説しましょう。
3つの脂肪酸とグリセロール
脂肪は3つの脂肪酸と、1つのグリセロールによって構成されています。
「脂肪酸」…炭素の原子が鎖状につながっている分子
「グリセロール」…油脂の成分となるアルコール
食事で摂る脂肪も人間の体脂肪もこの「3脂肪酸1グリセロール」の組み合わせでできており、酸性の脂肪酸とアルカリ性のグリセロールが組み合わさっていることで中性になっています。つまり、よくいう脂肪とは「中性脂肪」のことなのです。
脂肪酸の種類
一言で脂肪と言っても、オイル状のものがあれば牛脂のように固形のものもあります。これは、中性脂肪を構成している脂肪酸の種類によって脂肪の形状が変わるからです。
各脂肪酸の役割については今後別の記事にまとめようと思います!
脂肪の役割
ここからは脂肪の役割について解説していきます。
身体を動かすエネルギーになる
主に動物性の脂に多く含まれる飽和脂肪酸が身体を動かすエネルギー源になります。
少し小難しい話になりますが、飽和脂肪酸は不飽和脂肪酸と比べて安定している脂肪酸です。構成している炭素に満遍なく水素がついているのが飽和脂肪酸であり、酸化(劣化)しにくく、故に生命にとって蓄えるのに丁度いいエネルギー源になります。
(※不飽和脂肪酸がエネルギーにならないわけではありません。)
そう、それが体脂肪です。
脂肪(脂質)は1gで9㎉であり、タンパク質と糖質は1gで4㎉であると考えると、とてもエネルギー効率がいいとも言えますが、飽食の現代ではエネルギー過多の要因になる可能性も高くなっていると言えます。
脂肪がエネルギーや体脂肪になるまで
飽和脂肪酸がエネルギーになることを解説したところで、食べた脂肪がどうエネルギーや体脂肪になるかを解説します。
①消化された後、十二指腸で「リパーゼ」という膵臓から分泌される消化酵素によって脂肪酸とグリセロールに分解される。
②小腸で吸収された後、脂肪酸とグリセロールが再び結合し、そこにタンパク質が加わり「カイロミクロン」というリボタンパク(脂肪と結合したタンパク質)になり血中に送られる。
ここから総摂取エネルギー量によって分岐します
Ⓐ筋細胞で「β酸化」(酸化させた脂肪酸から「アセチルCoA」を取り出してエネルギーにする)してエネルギーとして消費される。
Ⓑ「リボタンパクリパーゼ(LPL)」という酵素によりまたまた脂肪酸とグリセロールに分解され脂肪細胞内でアシルCoAとなり、グリセロール(グリセロール3リン酸)とまたまたまた結合して中性脂肪となり蓄積される。
つまり、脂肪は身体のエネルギー源になりますが、カロリー過多の状態で脂肪を摂取すると体脂肪として蓄積されるということです。
体脂肪の分解とHSL
体脂肪をエネルギーにする場合、脂肪を食べたときとは少し異なる経路をたどります。
①運動などで「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」が分泌or摂取カロリーの低下により血糖値が低下することで、「ホルモン感受性リパーゼ(HSL)」が活性化する。
②HSLが体脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解し、血液で筋肉などに運ばれる。
③脂肪酸が細胞のミトコンドリアに運ばれ、β酸化してエネルギーになる。
運動やカロリー制限によって体脂肪が減少するというのは、主にこのHSLのおかげと言えます。
コレステロールの材料になる
脂肪は体内でコレステロールの材料になります。
「えっ、迷惑なんですけど…」
と聞こえてきそうですが、コレステロールも体にとっては大切な存在です。
コレステロールってそもそも何?
「コレステロール」とは、主に肝臓にてアセチルCoA(エネルギー化合物)からつくられる「脂質」(脂肪にタンパク質や糖、リン酸などが結合したもの)であり、タンパク質と結合した「リボタンパク」として血中を流れます。
「HDL」、「LDL」、という数値を健康診断で見ると思いますが、それこそが血中から検出されたコレステロールの数値です。
コレステロールの役割
①細胞膜の材料になる→免疫機能や栄養の吸収に関わる。
②脂肪を消化する「胆汁」の材料になる。
③「ステロイドホルモン」(性ホルモン、コルチゾール)の材料になる。
免疫やステロイドホルモンによる生理機能を維持するためにもコレステロール、ひいては脂肪の摂取は必要不可欠です。もちろん摂りすぎには注意!
悪玉コレステロールと善玉コレステロール
コレステロールには「悪玉コレステロール」と「善玉コレステロール」と呼ばれると呼ばれるものがあります。悪玉=身体に悪い、善玉=身体にいいというイメージがあるというよりそのイメージしか湧きようがないですよね。
このイメージは本当に正しいのでしょうか?それぞれ解説していきましょう。
悪玉コレステロール(LDL)の働き
悪玉コレステロール(LDL)はコレステロールを細胞まで運ぶ役割を持っています。
コレステロールの役割は先ほど述べた通り、生命にとってはなくてならないものです。
悪玉コレステロールが「悪」と呼ばれるのは、飽和脂肪酸や「トランス脂肪酸」の摂りすぎor後述する善玉コレステロールの不足により、本来細胞に届けられるか肝臓に戻るところを血中に留まってしまって血栓になるからです。
血栓ができた血管は幅が狭くなり、結果血液の流動性が悪化=高血圧となって生活習慣病の原因になってしまいます。
飽和脂肪酸は肉の脂身やバター、トランス脂肪酸はマーガリンやサラダ油などの身近な脂肪分や、牛肉などの反芻を行う動物の肉にも含まれます。
悪玉コレステロール自体は必要なものですが、コレステロール値悪化の要因はこうした食材の摂りすぎに起因することが多いので摂りすぎには注意が必要です。
特にトランス脂肪酸の中でも加工品に含まれる「エライジン酸」は体内での代謝が困難なので、分かりやすく言えばジャンキーな食べ物はたまに食べる程度の嗜好品として控えるのが健康のためでしょう。
善玉コレステロール(HDL)の働き
善玉コレステロール(HDL)には、血中の悪玉コレステロールを回収して肝臓に戻す働きがあります。血管に滞留した悪玉コレステロールが高血圧の原因になることから、これらを回収してくれる善玉コレステロールは高血圧の予防や改善に大きく貢献してくれます。
善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らすのはオメガ3脂肪酸、特に魚の油に含まれるDHA・EPAです。
イワシ、サバ、サンマなどの青魚に多く含まれるので、できれば毎日魚缶を1缶食べたいところです。
フィッシュオイルのサプリメントで摂るという手段もありますが、中には油の質が悪く酸化しているものもあります。酸化している油を摂ってしまうと善玉コレステロールが増えないどころか逆効果を起こす可能性もあるので注意が必要です。
海外製のものであれば下記リンクのサイトで安全性を調べられる(翻訳推奨)他、冷蔵庫で保管すれば酸化しくくなります。
https://certifications.nutrasource.ca/certified-products
まとめ
それでは今回のまとめです。
今回は「脂肪の役割」について解説しました!
- 一般的に言う脂肪とは、脂肪酸と3つのグリセロールが結合した中性脂肪のこと。
- 脂肪酸には大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分けられる。
- 脂肪は身体を動かすためのエネルギーになるが、摂りすぎると体脂肪として蓄積される。体脂肪を分解するには運動やカロリー制限でHSLを活性化させることが重要。
- 脂肪はコレステロールの材料となる。コレステロールは細胞膜、胆汁、ステロイドホルモンの材料になるため、身体にとって必要な栄養である。
- コレステロールには、コレステロールを細胞に運ぶ悪玉コレステロールと悪玉コレステロールを回収して肝臓に戻す善玉コレステロールがあり、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やすには魚の油に含まれるオメガ3を摂取するのがよい。
以上です!
次回も読者の皆さんに役に立つ情報をお届けします!最後まで読んでいただきありがとうございました!それでは良いトレ日を!