はじめに
こんにちは!元警察官トレーナーのいってつです!
前回の記事にて、MCTオイルと中鎖脂肪酸について解説しましたが、その際に
炭素の数が少ない短鎖脂肪酸を摂れば中鎖脂肪酸より効率よく
ケトン体がつくれるんじゃないの?
という疑問が出てきました。
今回はその答え合わせをしましょう!
この記事を読めば、短鎖脂肪酸とケトン体のややこしい関係がすっきり解決します!
※栄養について詳しく知りたい方向けの記事です!
ケトン体と中鎖脂肪酸を軽くおさらい
ケトン体について
飢餓や低糖質食で糖によるエネルギー生成ができない状態において、肝臓で生成されるエネルギーです。
短・中・長鎖の脂肪酸
その脂肪酸として利用されるのが主に飽和脂肪酸なのですが、飽和脂肪酸には炭素の鎖の数によって3つに区分されています。
このうち、MCTオイルなどの中鎖脂肪酸は、鎖数が少ないため消化吸収が早く、長鎖脂肪酸が細胞に入る際に必要なL‐カルニチンも必要ないということを解説しました。
そこで出てきたのが冒頭の「短鎖の方がケトン体を効率よくつくれる説」ということです。
短鎖脂肪酸はケトン体にならない
結論から言うと短鎖脂肪酸はケトン体にはなりません。
短鎖脂肪酸はほとんどが大腸の上皮細胞(表面の細胞)で吸収されてエネルギーとなる他、肝臓まで運ばれた分は脂肪の合成に使われますがケトン体には合成されません。
また、短鎖脂肪酸は主に腸内細菌(善玉菌)がつくりだすもので、乳製品以外にはほとんど含まれていません。腸内から短鎖脂肪酸を増やすには、腸内環境を整えて善玉菌の餌になる水溶性食物繊維や酪酸や酢酸、乳酸菌などを摂取することが重要です。
後述しますが脂肪細胞に作用して体脂肪の蓄積を抑え、分解を促進する作用があります。ケトン体は生成しませんが、ケトン体になる体脂肪の分解を促進できると考えるとケトジェニックダイエットに有用なのは変わりなさそうです。
ケトン体と短鎖脂肪酸は補填関係にある
短鎖脂肪酸はケトン体になりませんが、両者にはある密接な関係があります。
それが「交感神経の制御」です。
マウスを使った実験で、短鎖脂肪酸はGPR41(タンパク質共役受容体)を介して交感神経を活性化させたのに対し、β‐ヒドロキシ酪酸(ケトン体)はGPR41を介して交感神経を抑制しました。
研究論文:https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.1016088108
これは、食事から得られる短鎖脂肪酸が豊富な場合は交感神経を優位にしてエネルギー消費を促し、ケトン体が生成される飢餓の状態では交感神経を抑制してエネルギー消費が抑制されるという補完関係にあるということです。
ケトジェニックダイエットは現代社会にぴったりかも?
あくまでこれは飢餓状態のマウスで見られたものですが、ケトーシスの状態では日常的な自律神経バランスにおいて、交感神経が優位になりすぎる状態を防ぐ効果があるのかもしれません。
また、ケトジェニックダイエット中は糖質の摂取を極力減らすため血糖値の高下も少なく、血糖値スパイクによってアドレナリンなどが分泌されることもありません。そう考えると、ケトジェニックダイエットは落ち着いたメンタルを維持できる現代社会向けのダイエットなのかもしれません。
そしてケトン体を効率よく生成できる中鎖脂肪酸のMCTオイルがケトジェニックダイエットにおいては重要になるということですね。
最後に
短鎖脂肪酸がケトジェニックダイエット(ケトン体生成効率)に良いかという話題から飛躍しましたが結論としては、
・短鎖脂肪酸はケトジェニックダイエットにおいてケトン体にならない代わりに(謂わば)痩せやすい体質をつくる
・ケトン体をエネルギーにしている状態では平常時の交感神経が抑制され、血糖値の乱高下も起こりにくいのでメンタルが安定しやすく、ケトン体を効率よく生成するには中鎖脂肪酸のMCTオイルが効果的
よって
短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸はそれぞれ別のアプローチでケトジェニックダイエットに貢献してくれるので、ケトジェニックダイエット中はMCTオイルの摂取と腸活を徹底していきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
それでは良いトレ日を!