はじめに
こんにちは!元警察官トレーナーのいってつです!
1つ前の記事にてダイエットのカロリー計算方法を解説しました。
今回からはその応用として、「ローファット(低脂質)ダイエット」について解説します!
どんなカロリー計算で、どんな食材を食べて、どんな人に向いているかが分かる記事になっているので最後までご覧ください!
ローファットダイエットとは?
「ローファットダイエット」とは、その名の通り摂取する脂質を少なくするダイエット方法です。具体的には、1日で摂取するカロリーの内、脂質のカロリーを概ね1~2割程度に抑えて糖質とタンパク質を多く摂る食事方法ということです。
なぜ脂質を減らすのか?
ダイエットにおける最も大事なことは、カロリーのコントロールにあります。
ならわざわざ脂質の量を減らすことはないんじゃない?
と思うのもごく自然なことです。
単純にカロリーを落とす「ローカロリーダイエット」でも、もちろん体脂肪を減少させることは可能ですが、脂質を減らすことで受けられる恩恵があります。
①高強度の運動をしながらダイエットできる
ローファットダイエットでは脂質を減らしている分、糖質を多く摂取することができます。
本来、ダイエットにおいては糖質を減らすことが定石という印象がありますが、習慣的に高強度の運動(ウエイトトレーニングや水泳)をする場合、筋肉を動かすをためのグリコーゲンや、運動後の回復に使うエネルギーとして相応の糖質が必要になります。
糖質の役割についての記事はこちら
ある程度持続する瞬発的なエネルギーは、「解糖系」という糖質のエネルギー経路で生み出されるので、高強度の運動をしているのに単純にカロリーをさげるだけでは、寧ろ運動の強度が下がり、結果的に基礎代謝が減少してダイエットが上手くいかなくなる可能性もあります。
②中性脂肪の合成を防ぐ
脂肪について解説したこちらの記事で解説した通り、体脂肪はグリセロール(糖質の分解で生じる)に3つの脂肪酸がくっつくことで合成されます。
いかに摂取カロリーを消費カロリー以下に抑えているといっても、体脂肪が全く合成されないというわけではなく、体脂肪の「カタボリック(分解が進んでいる状態)」が「アナボリック(合成が進んでいる状態)」を上回っているに過ぎません。
が、体脂肪の材料になる脂肪酸、それを含んだ脂質を減らすことで体脂肪の合成効率を下げ、体脂肪のカタボリックをより進めることができるということになります。
どんな人に向いているのか
ローファットダイエットのやり方を説明する前に、このダイエット法に向いている人と向いていない人を明確にしておきます。
向いている人とその理由
・強度の高い運動習慣がある→糖質をエネルギーとして消費できる
・筋肉量や基礎代謝を減らしたくない→トレーニングの質が下がりにくい
・お米や和菓子が好き→糖質をしっかり摂れる
・トレーニング初心者だがダイエットしたい→「リコンプ(筋肉を増やして体脂肪を減らす)」が見込める
向いていない人とその理由
・運動習慣がないor理由があり運動できない→糖質の代謝効率が良くない
・肥満の診断を受けている→同上&糖尿病リスク(糖尿病の場合も同じ)
・アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患持ち→後述
・性ホルモン欠乏による諸症状(更年期障害、無月経、抑うつなど)がある→後述
・高インスリン血性低血糖症(インスリンの効きが良すぎる人)→血糖値のコントロールが効かず、頭痛・心拍数の増加・急激な眠気・意識障害の虞あり
高インスリン血性低血糖症についてはこちらのサイトで詳しく解説されています。
一般社団法人 日本内分泌会
https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=84
当てはまる方はトレーナーより医師の診断を受けましょう!
知っておきたいリスク
体脂肪は大切な3大栄養素であることは既に解説済みですが、改めて言うと脂質は本来大きく減らすべきものではありません。そのため、脂質を完全に0にしたり、ローファットダイエットを長く続けていれば体にとってよかろうもんなはずがありません。
ここでは期間や脂質制限量をやりすぎた場合に考えられるリスクを挙げておきます。
免疫力低下のリスク
脂質は細胞膜の材料になります。その脂質が必要な分供給されない状態が続けば、細胞膜のバリアが弱くなり、病原菌やアレルギー物質などの異物が入りやすくなってしまい、免疫力低下や炎症・アレルギー症状の悪化に繋がる虞があります。
性ホルモン低下のリスク
脂質は「ステロイドホルモン」の材料になりますが、この内、身体の生理に関わるのが性ホルモンです。「男性ホルモン(テストステロン、アンドロゲンなど)」と「女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロンなど)」があり、それぞれの性別に応じた体の特徴やその機能に関わることはご存じの方も多いでしょう。
その性ホルモンの材料になる脂質が少ない状況が続けば、当然その影響が出てきます。
性ホルモンの欠乏症である更年期障害や無月経を始め、男性ホルモンの欠乏による活力の低下や、女性ホルモン低下によるコラーゲン合成の低下(肌荒れ、シワ、筋肉の柔軟性の低下)などが懸念されます。
また、無月経でない女性の方であっても黄体期(高温期)折り返し~月経までの1週間は、脂質の摂取割合を全体の3割程度(標準的な脂質摂取割合)に戻しておくことを勧めます。
続けるならどのくらいまで?
ここまで解説してきたリスクとその症状は、脂質を極端に減らしすぎたり、長くやり続けなければすぐに発現するということではありません。それを踏まえた上でどれくらいの期間なら健康にローファットダイエットを行うことが出来るのでしょうか?
停滞が体からのサイン
ローファットダイエットの期間と安全性を扱った論文は僕の探した限り見つかりませんでした。しかし、上記の諸症状がある、もしくは発現した場合はもちろんですが、他にも体からのサインとして見れる要素が存在します。
それが体重の停滞です。ダイエットは体からすれば飢餓に近づく行為なので当然体に蓄えてあるエネルギー源(筋肉、体脂肪、グリコーゲンなど)をできるだけ守ろうとします。結果、効率よくダイエットが続いていても体重の停滞(「プラトー」ともいいます)が訪れます。このタイミングで脂質をある程度増やすダイエットに切り替えるか、1週間~1か月ほどダイエットをいったん切り上げるのもいいでしょう。
ただ、体重が停滞する主な要因は肝臓のグリコーゲンが枯渇しきることによる「迷走神経肝臓肢」の指令でなので、体重の停滞自体は脂質ではなくグリコーゲンの不足によるものです。実際はローファットダイエットのまま半年以上ダイエットして、特に体の不調がない方もいらっしゃいます。
「体がエネルギーの枯渇を認識し、あらゆる生理機能に使うエネルギーを制限すると考えると、健康リスクを重視する場合は食事バランスを変えるべき」という僕なりの見解です。
ビタミンやミネラル、食物繊維もきちんと摂っていれば健康リスクはかなり抑えられるはずです!
PFCバランスと計算方法
色々引っ張ってきましたが、ここからようやくローファットダイエットのPFCバランス計算方法の解説です。
PFCバランスとはP:タンパク質、F:脂質、C:糖質のカロリー比率のことです。
タンパク質と糖質は1gあたり4㎉、脂質は1gあたり9㎉です。
g(グラム)数ではなくカロリーなので気を付けて!
PFCバランス
ローファットダイエットにおけるPFCバランスは、
P:F:C=3:1:6 がベーシックになります。
4:1:5や3:2:5にしている方もいますが、最初はベーシックから始めることをおススメします。タンパク質は大事な役割が多いので、3割からは減らさないようにしましょう。
計算方法
丁度僕がこの記事を書いている2024年5月末に始めたローファットダイエット計算を例にあげながらその割り出し方を解説していきます。
①摂取カロリーを計算
まずは摂取カロリーを計算します。(四捨五入)※計算式詳細はこちらの記事から
体重77kg、体脂肪率17%
除脂肪体重=77×0.83=64kg
基礎代謝=64×28.5=1824㎉/日
一日平均消費カロリー(5日筋トレ、1日休みの場合)={5(1824×1.5)+1824×1.3}÷6=2675㎉/日
摂取カロリー=2675-500=2175㎉/日
②PFCバランス割り出し
まずはメインの栄養素であるタンパク質と糖質の摂取カロリーとgを割り出します。
P(タンパク質)のカロリー=2175×0.3(30%)=約653㎉
Pの摂取g=653÷4(1gで4㎉)=約163g
C(糖質)のカロリー=2175×0.6(60%)=1287㎉
Cの摂取g=1287÷4(1gで4㎉)=約322g
残りのカロリーで脂質の摂取カロリーとgを割り出します。※PとC同様、10%計算でもOKです。
F(脂質)のカロリー2175-(653+1287)=235㎉
Fの摂取g=235÷9(1gで9㎉)=約26g
よって、僕のローファットダイエットの場合のPFCバランスとその摂取gは
P:F:C=3:1:6
カロリー(g)/日=P:653㎉(163g)
F:235㎉(322g)
C:1287㎉(26g)
という結果になりました。
最後に
あくまで計算上のカロリーは目安で、実際は
・運動量
・体質
・食材の品質、調理法や調味料などによる摂取カロリー誤差
など様々な要素が絡んできます。そういった面でもダイエットはカロリーを計算した上で、その計算方法や栄養バランスが自分に合っているか、改良が必要なのかを検討するために長期的に&できるだけ楽な強度で続けていきましょう!
次回はローファットダイエットに役立つ食材を紹介していきます!
最後まで読んでいただきありがとうございました! それでは良いトレ日を!