はじめに
こんにちは!元警察官トレーナーのいってつです!
ここまで4回に渡ってケトジェニックダイエットについて解説してきました。
①ケトン体について
②PFCバランスと注意点
③おススメ食材リスト
④おススメサプリメント
今回はケトジェニックダイエットには欠かせない「MCTオイル」について解説していきます!
最近メディアで取り上げられたり、
大手食品メーカーでも販売されつつあるMCTオイルですが、
・そもそもMCTオイルって何なの?
・何で痩せるの?
・もしかしてヤバイぶつなの?
と思っている方もいらっしゃるでしょう。
この記事を読めば、MCTオイルが何からできたオイルで、何故ダイエットに役立つのか、
どのように使っていけばいいのかが分かるので最後までご覧ください!
MCTオイルとは?
まずはMCTオイルが何からできていて、何故MCTという名前がついているのか?
という疑問から解決していきましょう。
MCTオイルの原料
MCTオイルの原料はアブラヤシ(パーム)やココヤシ(ココナッツ)の実の種子です。
パーム油やココナッツオイルとは原材料の植物は同じながら、ある成分に特化させた別物となっています。
名前の由来
そのある成分とは、ズバリ「中鎖脂肪酸」です。
中鎖脂肪酸とは、飽和脂肪酸の内炭素の鎖が中程度(8~10個)の脂肪酸を指します。
中鎖脂肪酸は英語で「medium chain triglyceride(ミディアム チェイン トリグリセリド)」といい、それぞれの頭文字を摂ってMCTと呼ばれています。
パーム油やココナッツオイルとの違い
パームやココナッツからできているMCTオイルですが、パーム油やココナッツオイルとは何が違うのでしょうか?
パーム油の脂肪酸
パーム油脂肪酸構成は、長鎖脂肪酸のパルミチン酸と、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が
それぞれ40%を占めていて、中鎖脂肪酸の割合は2割以下になります。
種子を使った「核油」は中鎖脂肪酸を多く含んでいますが、MCTオイルは中鎖脂肪酸のみ抽出しているものなので成分的には別物です。
参考サイト:https://www.bctj.jp/3minutes-palmoil/
ココナッツオイル
ココナッツオイルはパーム油よりも中鎖脂肪酸の割合が約60%と高く、あとの40%はほとんど飽和脂肪酸です。MCTオイルよりも手に入りやすくはありますが、吸収の速さやケトン体の生成効率には差があります。
参考サイト:https://kenko.sl-creations.co.jp/column/column24.html
中鎖脂肪酸の特徴
「MCTオイル=ヤシから中鎖脂肪酸を抽出した油」ということはご理解いただけたと思います。次に、その中鎖脂肪酸が何故ダイエットに役立つのかを解説していきましょう!
消化・吸収が早い
脂質は本来、消化吸収に時間がかかります。
肉の脂身や揚げ物などは消化吸収に4時間ほどかかるので、ケトン体生成に時間がかかってしまいます。特に、朝やトレーニング前後などのエネルギーが必要なタイミングでケトン体が足りないと倦怠感や疲労感が出ることもあります。
一方でMCTオイルは消化吸収が早く、摂取から1.5時間後には吸収されケトン体を生成します。そのため、トレーニング前1.5時間前にMCTオイルを摂取しておくとトレーニング中のエネルギーになってくれます。
トレーニング前のコーヒーやプロテインに混ぜるのがおススメです!
先ほどの図の通り、炭素の数が少ない分
・消化しやすいこと
・脂肪酸を細胞内へ運ぶL‐カルニチンなしで細胞に入れる
といった特徴からMCTオイルは消化吸収が早く、その分エネルギー(ケトン体)の生成も早いのです。
「炭素の数が少ないから消化吸収が早い」という理論を聞いて
炭素の数がもっと少ない短鎖脂肪酸を摂ればいいんじゃないの?
と考えた鋭い方もいるかと思いますので、短鎖脂肪酸とケトン体の関係についても次回の記事で解説しましょう。
エネルギーになりやすい=太りにくい、痩せる(と言われる)
解説した通り、MCTオイルは消化吸収→エネルギー消費が早いオイルです。それは長鎖脂肪酸に比べて血中の遊離脂肪酸として滞留する時間が短いということであり、それ故に体脂肪として蓄積される割合も少なくなります。
MCTオイルが太らない、痩せると言われているのはこれが理由です。
が、もちろんこれは摂取カロリーが消費カロリー以下であることが前提です。
たくさん食べてもMCTオイルさえ飲めば…という魔法のオイルではないので、サプリメントのようなものだと考えておきましょう。
それでも実際にダイエット(特にケトジェニックダイエット)において効果は間違いなく期待できます!
その他のメリット
脳機能にも好影響
脳のエネルギーといえばブドウ糖というイメージかもしれませんが、ケトン体も脳のエネルギーとして働きます。
それどころか、軽度の認知障害を持つ方を対象にした記憶力の研究では、炭水化物メインの食事のグループと、5~10%にしたグループ(ケトン体レベルが高い)とでは、後者のグループの方が成績がよかったそうです。
脳障害の研究においてもMCTオイルを摂取した場合は大きく改善が見られるなど、脳の機能を維持、改善するには糖よりも寧ろMCTオイルを摂った方が有用なのかもしれません。
参考:「効率よく筋肉をつけるための山本式アスリート栄養学三大栄養素編」永岡書店
また、僕自身の経験としてケトジェニックダイエット中(MCTオイルを摂取)は血糖値の乱高下がないことから、頭がすっきりして気持ちも落ち着いていたことから、現代社会人にはMCTオイルを摂取するケトジェニックダイエットが合っているように感じます。
食欲との関係
すぐに体や脳のエネルギーになるという側面から、満福中枢を刺激して食欲を抑える効果も期待できます。糖質のように血糖値スパイクを起こしてしまうこともないので、間食にMCTオイル入りのプロテインなどを飲めばかなり満足感を保てます。
摂取方法と量
1度に多く摂るとお腹を下しやすいので、1回5gを数回(3食と間食で6回ほど)に分けて摂取し、ケトーシスに入った後も食後+トレーニング前90分前に摂取しましょう。
加熱調理すると固まってしまうので、そのまま摂ったり、コーヒーやプロテインに混ぜたり、サラダにかけるのがおススメです。
ケトジェニックダイエット開始時は、ケトーシス(ケトン体をエネルギー源にしている状態)に入るまでの倦怠感(エネルギー不足)を防いでくれるので積極的に活用しましょう!
ただし、MCTオイルは飽和脂肪酸であり必須脂肪酸の不飽和脂肪酸はほとんど含まれていません。こちらの記事にある通り、不飽和脂肪酸はバランス良く摂取する必要があるため、カロリーを全てMCTで賄うよりもトレーニングの前や食事に少しずつを意識していきましょう!
今回の解説は以上です!
それでは良いトレ日を!